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         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 


神様たちが出雲大社で集いを開かれるという神無月も終わり、
そろそろ年越しの準備を念頭に置きなさいよという頃合いへ、
暦はずんずんと進んでいるのに、
季節だけはまだまだ行ったり来たり状態で。
秋と冬との行ったり来たりならともかく、
秋と夏との 同上…なんてなことをやらかしているズレっぷりだってのに、

 「風邪や肺炎が流行しているというじゃありませんか。」
 「そうそう。」
 「わたしの妹が通う中等部でも、
  早くも学級閉鎖かという勢いで
  風邪を引いての欠席する方が増えているとか話しておりましたわ。」

それでなくとも季節の変わり目、
各自でも気をつけなくてはいけませんわねと。
まだコートをまとうには早いとはいえ、結構冷え込む朝の登校、
各々で濃色のセーラー服の上へ、
華美ではない色合いやデザインをと努めておいでのカーディガンを羽織った、
何とも淑やかなお嬢様がたが、
最寄り駅から連なるゆるやかな坂を上がっておいで。

 「ああでも、秋の行事もあらかた終わってしまいましたね。」
 「そうですわね。」

乙女たちを守るための鉄の槍を思わせる、
漆黒の鉄棒が連なる柵に沿って歩めば、
やがて見えて来るのはいかにも厳格そうな正門で。
墨染めの衣をまとったシスターたちが数人居並び、
登校して来る令嬢らを出迎えかたがた、
彼女らの身だしなみチェックは勿論だが、
怪しい者が近づいて来ないかも鋭く監視しておいで。
名だたる名家の令嬢も少なくはないからというよな用心ではなく、
あくまでも…親御からお預かりした可憐で清らかな乙女ら全員を、
身も心もお守りするためなのだが。

 「? どうされました? シスター・アンジェラ。」
 「え? あ、ああ、いえ。何でもありません。」

時折、どこか感慨深いお顔になるシスターがおいで。
こっそりとながらも小さく吐息をつかれたり、
そうかと思えば胸元を押さえ、
そこに下がった十字架(ロザリオ)を押しいただいての眸を伏せて、
何かしらお祈りを捧げておいでだったり。
他のシスターたちに気取られぬようにということか、
あくまでも平生の様子を保っていようとなさりつつ。
それでも気になる心配事が心を捕らえて離さぬか、
結局は 何かを憂うよなお顔をなさってしまわれ、

 「???」
 「…どうされましたか?」

結果として、周囲の同僚の皆様からまで案じられている始末。
とはいえ、そうそう口外できることでもないものだから、

 「いえあの、何でもありません、はい。」

引きつったようなお顔でかぶりを振って見せる他はない、
シスター・アンジェラなのは同じコト。

 『どうか誰にも言わないでいて下さいませんか?』

まだまだ子供も同然の、
生徒であるお嬢様からのみの懇願ならば
そうそう言う通りにはしなかったかも知れぬこと。だが、

 『大ごとになっては、
  結果、あの子の身にも危険が増すかも知れませんので。』

警察関係者も含む、
様々に見識も高かろう深かろう御仁らからまで
そうと言われてしまったからには、
何かしらの対処もなさるだろうことへの
邪魔や妨害になりかねぬとの判断も出来。
シスターにしてみれば、大人しく沈黙を守るしかないのだけれど。
ついとお顔を上げて見遣った秋空には、
案じておいでのその人ゆかりの色合いが
それは清かにたたえられており。

 “…どうか無事でいてくださいね、草野サン。”

おおお、もしかせずとも無茶苦茶張り切りそうな顔ぶれが
まずは二人ほど居そうなお名前が…。






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  *変梃りんなタイトルですね、
   それも含めて思わせぶっててすいません。
   何か起きなきゃすまない段取りになって来たような、
   困った女子高生シリーズでございますが。
   一体何があったのか、
   そしてその経過はどうなのかは、もちょっとお待ちを…。
   うんうん、大したことじゃなきゃいいんですけれどもね。


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